実は原因と結果が逆?ヘルニア、脊柱菅狭窄症の考え方

ヘルニアのイメージ

原因と結果を間違えると痛みは改善しません

院長

施術中にお客様からヘルニアについての質問を伺いました。
質問内容は「ヘルニアだから慢性痛が出ているのですよね?」でした。

私は「慢性痛が出ている状態だからヘルニアになっている。」とお答えしました。※脊柱菅狭窄症も同様です。

常識くん

言われている意味がわからないです。
どちらも同じではないですか?

院長

一見同じような言葉ですが、これは似て非なる表現です。

ヘルニアだから慢性痛が出ているとは「原因がヘルニアで結果として慢性痛が出ている。」と言い換えることができます。

一方、慢性痛が出ている状態だからヘルニアになっているとは「原因が慢性痛が出ている状態で結果としてヘルニアになっている。」と言い換えることができます。

常識くん

ヘルニアだから慢性痛が出ているというのは、神経圧迫されて痛みになるからということでうなずけるのですが、逆の言葉は全くイメージがつきません。

ヘルニアとかで神経圧迫で痛みが出ると説明されるじゃないですか。

院長

そのように説明される方も多いですね。

しかし、滋賀医科大名誉教授の横田敏勝先生は著書の「臨床医のための痛みのメカニズム」で、正常な脊髄神経根の圧迫は痛みを生じないと言われています。また、筋筋膜性疼痛症候群研究会(MPS研究会)の名誉会長の加茂淳先生もヘルニアにかかわる神経根痛を見たことがないと言われています。

つまり神経圧迫による痛みの事例が少ないことをドクターが認めています。

神経痛一般の発現機序

痛覚線維の生理的興奮は、その末梢の自由終末にある痛覚受容器(侵害受容器)が刺激されたときにみられる。

自由終末と脊髄を継ぐ部分からインパルスが発生することはめったにない。

神経根痛

脊髄後根を圧迫すると神経根痛(radicular pain)がでて、圧迫された後根の支配領域に痛みが走るとみられている。しかし、この考えは特別な場合にしか通用しない。たとえば、脱髄線維を含む脊髄後根への機械刺激は神経根痛を誘発するが、正常な脊髄神経根の圧迫は痛みを生じない。

バルーンカテーテルを使って正常人の脊髄神経根を圧迫すると、錯感覚(paresthesia)と感覚鈍麻が誘発されるが痛みではない。正常な脊髄後根を牽引しても痛くない。しかし、傷害歴のある脊髄神経根を鑷子で圧迫したり、縫合糸をかけて牽引したりすると、特徴的な神経根痛が走る。

加茂)

自由終末と脊髄を継ぐ部分からインパルスが発生することはめったにない。特徴的な神経根痛と思われたときは、ヘルニアよりは神経腫とか神経の傷害、脱髄を想定すべき。

私は残念ながらそのようなヘルニアにかかわる痛みをみたことがありません。医師としてめったにないこともでも一応想定すべきことではあるが、まずはもっとも多いことを想定して治療にあたるべきである。

(外部リンク:加茂整形外科医院(「臨床医のための痛みのメカニズム」)より引用)
常識くん

なるほど、神経圧迫による痛みが出ることは少ないのですね。
では痛みの原因はなになのでしょうか?

院長

痛みの原因は筋拘縮による血流不足、関節包の圧迫です。

ヘルニア、脊柱菅狭窄症でお悩みの方は、ぜひ一度当院の筋肉弛緩療法を受けられてはいかがでしょうか?

原因が痛みが出ている状態で結果としてヘルニアになっているとは?

院長

痛みが出ている状態は色々とありますが、この場合は筋拘縮がかなり進行していて、血流不足により痛みが発生しているとします。

その場合、テコの原理により腰に負担がかかりやすくなります。

常識くん

・・・テコの原理?

院長

テコの原理は、以下のような支点、力点、作用点の関係があり大きな力を発揮しやすいという特徴があります。

テコの原理のイメージ
テコの原理は大きな力を発揮しやすいイメージ
院長

テコの原理を腕に例えてみましょう。

腕を曲げている時は痛みがないのに、腕を伸ばした時に痛みがあったとします。

肘関節のテコの原理発生のイメージ
STEP
関節をまたぐ筋肉が拘縮
肘関節を曲げている時のイメージ

関節をまたぐ筋肉が拘縮し伸びない状態になっていた場合

STEP
支点(関節)に強い力が加わる
肘関節を伸ばした時に負荷がかかるイメージ

腕を伸ばすと関節(支点)に強い力が加わります。

院長

上の画像のように関節をまたぐ筋肉が拘縮し伸びない状態になっていた場合に腕を伸ばしたらどのようになるでしょうか。

答えは、以下のように関節支点)に強い力が加わります。

常識くん

ひょっとしてこれが腰でも起きているのですか?

院長

その通りです。
実際のヘルニアの画像をみてみましょう。

実際の腰椎椎間板ヘルニアの画像
院長

左側がお腹、股関節前、右側が背中、腰の図になります。

お腹、股関節の筋肉が拘縮している状態で、前傾姿勢からまっすぐ立つと何が起きるかわかるでしょうか?

常識くん

テコの原理で腰に負担がかかりますね。

院長

はい、その通りです。

もう少し、椎間板を細かく見るともっとイメージがつきやすいです。

椎体をクッキー、椎間板をマシュマロに例えて腰椎椎間板ヘルニアになる原理を説明します。

ヘルニアの原理
STEP
正常な腰椎の状態

正常な腰椎は、柔らかい椎間板がクッションの役割をしています。

STEP
筋拘縮により椎間板の前側が潰される

お腹や股関節周りの筋拘縮により前傾姿勢になりやすいために、椎体により椎間板の前側が潰されるような負荷がかかります。

STEP
テコの原理により腰椎椎間板ヘルニアになる

筋拘縮による前傾姿勢から立ち上がると、テコの原理により、腰(支点)に負荷がかかり、線維輪から髄核が飛び出して腰椎椎間板ヘルニアになります。

線維輪から髄核が飛び出した時は炎症により強い痛みを感じます。

常識くん

なるほど。
椎間板の前側が固定されるので、立ち上がった時にテコの原理で押し出されるように髄核が飛び出すのですね。

院長

はい、ですので腰部椎間板ヘルニアのレントゲンを見ると、ほとんどが髄核が腰側の後ろに飛び出しています。

本題に戻すと、痛みが出ている状態とは、筋拘縮によりテコの原理が働きやすい状態であると言いかえることができます。

そして、筋拘縮によりテコの原理が働きやすい状態が原因、ヘルニアが結果ということです。

常識くん

なるほど。
原因と結果が逆ということはわかりました。

でも、お客様の言われていた「ヘルニアだから慢性痛が出ている」ことに変わりはないですよね?

院長

はい、痛みが出ることに変わりはないのですが、お客様の言われていた痛みは厳密に言うと血流不足による慢性痛でした。

ヘルニア発生直後は炎症による急性痛が出ます。

改善可否

筋拘縮が原因の慢性痛は、筋肉弛緩療法による改善が可能です。

注意
  • 炎症による痛みが強い場合は、2~3日程度様子を見ていただいてからお越しください。
  • 疾病、怪我(打撲、骨折)、難病等の痛みについては、治療院をおすすめする場合も御座います。

予約、お問い合わせ

ご不明の場合はお気軽にご連絡頂きたく思います。

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